【はじめに】

団長の徒然なるままに・・・2004年版 〜第12回定期演奏会に向けて〜

はじめに

あれから一年。最近驚いた事に、「徒然はもうやらないの?」という声が聞こえてくる。どんなモノも『Part1』が話題になるほど、『Part2』を創るのは難しい。みなさんの期待、多くの視線、形に残ってしまうというプレッシャー。団長と何度も話し合った。もっと多くの方にフィルをよく知ってもらいたい。応援してくださるみなさまにもっともっと好きになってもらいたい。この徒然を通してフィルの様子や団長の生声が伝えられたら・・・ 近々、第12回定期演奏会に向けての〔団長の徒然なるままに〕第1話をお届けできる事と思います。

 

by 編集係

戻る

【第1話】
この日記をまた書く事に至って、係と何度も話し合いを重ねました。みなさんにとっては、たかが日記と思うかもしれませんが、僕にとってはとても慎重に考え抜いて決断した第2弾なのであります。前回の第1弾は初めてという事もあり手探り状態。僕が書いた文にしては合格点をあげてもいいかな。そして、団員を含めたくさんの方にご愛読いただいたこと、心から嬉しく半分照れもあり・・・。今回の第2弾に関しては、例えば映画でもそうですが、Part1を越えるのは、とうてい難しいと考えています。(例外もあるが、エイリアン、ランボー、メジャーリーグ・・・のように期待を裏切られる事が多いので)まぁ、この徒然は、私団長の独り言だと思い、変に期待されたくない。と言う自分が一番期待していたりしますが。

現在青木フィルは、第12回定期演奏会の大成功に向けて猛練習中です。団員は、家族を持っていたり、子持ち、学校やバイト、会社では年齢的にも責任のある仕事を任せられるようになっていたりで、青木フィルに対しての比重を掛け難くなり、技術向上や練習参加との間でもがいています。僕は団長として、やろうとする企画・夢・曲・練習内容や日程など、団員にとって、とても酷な事を言わざるを得ない時があり、愛する団員達を苦しめてしまっているんじゃないかと思ってしまう。この1話の日記を練ってる間にもユーフォニウムのかとけつと、トロンボーンの伊澤さんが、胃の病気になってしまいました。2人が本当に心配です。僕のやり方でストレスを感じていたのかもしれないと自分を責めたり。
僕の使命は、青木フィルを通して音楽をさらに好きになると共に、その音楽の中で一緒に過ごす仲間を大切にできるような環境を創る事だと思っています。団員には、青木フィルの他に、力を注がなければならない守るべきものもある。それは僕も一緒。それでも時には、僕は信念をもって厳しい事を言わなければならない。音楽と接する喜びを互いに大切にする為に、青木フィルをもっと成長させる為に・・・。12月14日浦和美園駅でのクリスマスコンサートに出演しました。落ち着いた緊張感もあり、心の込もった演奏ができたと思います。演奏会は大成功で、お客さまも拍手喝采。とても喜んでくれました。そのお客様の笑顔、そして団員のとても満足そうな表情を見て、やろうとしている事は間違っていない。と確信しました。音楽の神様を含め、多くの人に愛されるバンドになる為に、無力ではありますが、これからも全身全霊をもって取り組んでいきたいと思っています。

重い重い第1話になりましたが、第2話は団員の話をしようかな。今宵はこの辺で。そういえば僕の大好きな曲「いとしのエリー」。1番より2番の方が好きなんですよ。この徒然第2弾も大切に歌いあげます!

戻る

【第2話】
今回の定期演奏会には、特に注目して欲しいメンバーがいます。4月に出産予定で、当日は関取のような体型で、マタニティーを着込み出演するサックスの蓑和久美(現在 柴崎久美)
であります。僕と彼女は中学時代の先輩後輩の間柄です。長い間一緒に吹いていますね。あれから15年近くになります。ある指導者に出会えたお陰で、厳しくも素晴らしい音楽の世界にもまれ、そしてその音楽に共に惹かれていった。長くやっているせいか一緒にやっていると何故か落ち着けるとても信頼のできる奴です。
昨年度まで副団長をしていた彼女に、「副団長とは何ぞや。」ということで僕はよく怒り、泣かしていました。僕もそこまで言えたのも信頼しているし、今後も一緒にやっていきたいと心から思っていたから。副団長を退いた今でも、青木フィルの運営について相談することがあり、話してみるとまったく同じ事を考えていて、驚かされる時があります。そして一年前、この日記を始めるに当たってタイトルを何にしようか係と協議をした時、「団長の徒然なるままに・・・。なんていうのはどう?」と言い出したのは彼女。「それにしよう!」と決め、この『徒然なるままに』が始まりました。彼女が名付け親なのです。 彼女は、サクソフォンというとっても優しくあたたかい音を出す楽器を担当していて、青木フィルにとって演奏面でもなくてはならない存在である。そして演奏面だけじゃなく、一緒に吹きたい。と彼女に心を委ねる団員が多い。ある団員は「ミノが産休でいないのはかなり不安。でも帰ってきた時、がっかりさせないように頑張りたい。」と言ってました。ミノは愛されているよなぁ。本番や練習、・・・厳しい中にも愛情を込めて頑張っていた副団長のミノを、団員達はしっかり見ていた。そしてそれに応えようとしていますね。

妊婦として大事な時期におなかの子供と2人して命がけでステージに立つんですね。演奏の途中で、赤ちゃんが出てこなければいいけど・・・。万が一出てきてもいいように、念の為、盥(たらい)とバスタオルをたくさん用意しておきます。ご来場のみなさん、おなかの大きいサックスの蓑和にご注目ください!

彼女が休むしばらくの間、子育てで青木フィルを離れるという事、とても寂しく思います。あなたの大切なバンド、心から愛情を注いだ青木フィル、立派に成長させてみせますからね。ミノの旦那様、ミノとは決してあやしい関係ではありません。純粋な男同士の仲でありますので、ご安心ください。

戻る

【第3話】
今更ながら、新年明けましておめでとうございます。おみくじで2年連続『凶』を出し、絶好調!徒然も好調な男32歳双子座であります。この日記もたくさんの方に読んで頂いている様子で嬉しい限り。(ちょっとカウンターが上がり過ぎている様ですが・・・)まぁ、とにかく定期演奏会にご来場いただいた皆様に、ステージ上の私達を見て、演奏以外の青木フィルも、もっと知っていただきたい。そんな想いを込めて今年も書いていこうと思います。

僕達プレーヤーは、周りの音を聴きながら演奏しています。音量・バランス・曲の流れを聴いて演奏しているのです。ただ僕には、人より気にして聴いてしまう部分(パート)があります。それは「低音」です。特にチューバかな。僕が演奏する時は必ず、チューバを聴いて音楽の幅を広げています。
僕が好きなステレオのメーカーに、〔ONKYO〕というのがあって、それにこだわって揃えています。何がいいのかまでは僕にはよく分かりませんが、とにかく出てくる音が綺麗なんです。特に低音の響きが気に入っています。青木フィルには、チューバという低音楽器を担当している奴らがいます。全員男性で、見た目ブサイクなのですが、男としても僕はこの4人がとても好きです。こんな事書くのは変かもしれないけど、なんだかカワイイ。そんな存在。細い体のヤタベヒラク。彼の掲示板への書き込みを見ていると、入団してまだ間もないのに、すでにどっぷり青木フィルにはまっているのがよく分かる。本間副団長と岩沢義治は、僕の中学時代の後輩。ちんち○に毛の無い時から一緒で、思い出もいっぱいあるなぁ。僕は、実際一人っ子ですが、弟の様にかわいがっているつもりです。時には厳しく、時にはすんごく甘くなってしまう事もあります。
音楽の中で低音というのは、ピラミッドで言うまさに底の部分であり、この部分がしっかりしていないとピラミッドは崩れてしまう。この4人が私達青木フィルの演奏を支えています。3月21日の定期演奏会がこの4人にかかっているといっても過言ではありません。

お客様、ステージ右、ステージ右です!顔が隠れてしまうくらい大きな楽器を持ったこの4人の青木フィル自慢の重低音バズーカ。是非、ご賞味ください。あぁっ、3人分しか書くスペースがない!

P.S.
ひろし君、君の事を書かなかった事を決して恨まないように。でも、その気持ちを当日のステージでぶつけてくれ!!って言われなくても頑張ってるよね。

戻る

【第4話】
最近、編集係からは、この徒然をもっとおもしろくする為に、人物をたくさん登場させてね!と言われます。(登場人物がいないとおもしろくねぇのか!コノヤロー!!)この間の徒然の打ち合わせでも「新入団員を登場させて欲しいなぁ。」だそうです。
大:「ヨシ!要求どおりにしてやろう。それでいておもしろいものを書いてやる!」
ということで、第4話のはじまりはじまり。

さぁ、誰の事を書いて欲しい?○○パートの○○ちゃんにしよう。よーし、書くぞ!
大:○○ちゃんは、どこに住んでるの?
大:いくつ?
大:へぇ〜、どんなコ?
大:彼氏いるの?
大:むんーーーん、○○ちゃんの事は、また今度にしようかな。・・・あ、○○君にしよう。
大:○○君は、何の仕事してるの?
大:一人暮らし?
大:へぇ〜、どんな奴?
大:結婚してるの?・・・・・・・・・
最悪である。団長ともあろう者が、本当にお恥ずかしい限りです。もしかしたら、実際の僕を知らずにこの徒然をご覧の皆様には、「青木フィルをこよなく愛する団員想いの団長」に映っているかもしれません。でも本当は、野心だらけで腹黒く、冷たい男。そして双子座の二重人格者。という方が、適切なのでは・・・?

定期演奏会で客席いっぱいのお客様に感動していただきたい。と心から思っています。僕自身だって、今よりももっと楽器が上手くなりたい。そしてこの青木フィルも、もっともっと上手く(強く)させたい!
男が男に生まれたからには、野望をもたないはずがない。しかし、それだけでは駄目なのである。例え、青木フィルの演奏が上手くいったからといって、必ずしも"成功"ではないと思っています。(プロはそれだけでいいけどね。)演奏が上手くできるのも僕の目標の一つだけど、何よりも大切にしていきたいのは、チームワーク、和、絆、団結、契り?・・そうしていきたい。と思っている僕が、まだまだ団員の事を分かっていないんだよな。(心はコバルトブルー)

青木フィルを創って、とーっても嬉しく思っているのは、『人との出逢い』なんです。この先、青木フィルがどんなに有名になっても、素晴らしい賞をいただいたとしても、フェラーリに乗って練習場所に通うようになっても(大金持ちになる事)、僕が団長でいるうちは、団員同士が思いやれるような温かい、そして音楽には熱いバンドを目指していこうと思っています。

P.S 努力もしないただの仲良しバンドにだけはなりたくない。必ず上手くなってやる!

【告知】
クリスマスも大好評だった浦和美園駅でのコンサート。
来る2月29日(日)14:00〜ひな祭りコンサートin浦和美園駅 
是非、いらしてください。

戻る


【第5話】
この徒然を書くようになり、思いもよらぬ方々から「見てるよ。おもしろいね。」なんて言われる事があります。照れながらも嬉しい限りです。一番予想外なのは団員からで、僕という人間の普段は見えない部分が見え、青木フィルがより楽しくなった。と言われたりもしています。(普段の俺はそんなによく見えないかなぁ)そんな中、「不定期ではなくて定期的に(曜日とか決めて)書いて欲しい。」とか、「私の特集はいつなの?」とか勝手な事を言う奴もいます。んまぁ、たくさんの方に気に止めていただいてる様子で・・・。

団長という立場に立っているだけに、周りから厳しい意見を言われる時があります。もちろん、そういう意見にも耳を傾け納得して反省する時もありますが・・・時には、その立場のせいなのか?僕をなめてるのか?馬鹿にしているのか?なんて感じたり、訳もなく傷つく事もある。どんな風に言われても、我慢しなければならない立場なのは分かっています。しかし僕は、例えそれが陰口であったとしても、僕自身、傷つけられたと感じたならば、自分の意見をしっかりと伝え、怒るようにしていることが多い。

僕は、桑田佳祐が大好きです。もちろんライブにも何度となく行っているし「ファン」なんて一言で収められたくない程、尊敬し愛しています。彼の歌に『すべての歌に懺悔しな』という曲があります。その詩には、
♪テレビに出ないと言ったのに
♪ドラマの主役にゃ大張り切り
♪儲かる話と薬にゃ目がない
なんて書いてあり、当時ミュージシャンでありながら、ドラマに出始めた長渕剛や矢沢永吉に対しての皮肉ではないか?とテレビのワイドショーでやっていたのをはっきりと覚えています。桑田さんは、当時も今も、長渕や矢沢の事を書いたとは一切言っていないのに、長渕は自分を批判していると、怒りを露にしていました。僕は桑田さんの大ファンであるが、この件に関しては、長渕派である。だって、一生懸命やっている自分の事に対して悪く言われたと自分で感じたなら、怒らなければ!そんな行動を立派にさえ思ったのです。(しかしその後、長渕は薬でつかまったけど・・・)

僕は今、青木フィルのあるパートをすごく心配しています。そのパートは、打楽器であります。打楽器奏者は、ただ楽器を叩いて音を出すだけではありません。管楽器奏者の息遣い、テンポ感に合わせ演奏し、打楽器奏者にしかできない、一発のシンバルの緊迫感やスティックを振り上げるモーションなど・・・体全体を使って楽器を鳴らさなければならないとても難しいパートです。
学校・仕事・家庭などで忙しいというメンバーが多く、窮地に追い込まれている状態で練習しているのは分かっています。が、彼らの練習時間が短すぎる為に、合奏の練習について行けず、バンドと噛み合わない時がある。
これはすべてのプレイヤー(奏者)に言える事ですが、いかなる状況においても、その譜面を手にした時点で責任が生まれてしまうのです。大変だと思うけれど、それぞれの壁を乗り越えてみんなで創る音楽が、いい演奏つまり『感動』に結びつくのではないだろうか!

今回名指しで厳しい事を書いたが、ひどい、失礼な事を書かれたと思い、怒るのもいいだろう。打楽器パートには昔から知っている仲間が多く、今の青木フィルがあるのもこいつらのお陰だと思っています。心から信頼もしています。本番の日、打楽器メンバーの気持ちから溢れ出る『一音入魂』『この一発に懸ける』・・・誰よりも、僕が一番期待しているのです。

P.S.書いていて確信した事があります。一生懸命やっている青木フィルの事だから、自分で傷つけられたと思ったならば、やっぱり怒ろう!と・・・自分の為にも青木フィルの為にも。

戻る

【第6話】
 『僕の結婚式のスピーチのつもりで何か書いてくださいよ』・・・と大沢に言われた。出会いから始まって青木フィルに至るまでを書いて欲しいらしいのだが、さて困った。結婚式のスピーチはあること無いこと誉めまくらなければならない。今でこそ責任感もあり、指導力、演奏技術共に天才の名を欲しいままにしている大沢である。団員から尊敬もされ、頼りにされ、期待されている天才大沢のイメージが、中学時代の事を書くと随分崩れてしまうような気がするのでこの何日か迷っていたが、まあ本人が書いてくれと言うのだから本当の事を書くことにしよう。
私が青木中学の吹奏楽部を教えていた頃、ちっちゃくて頭の悪そうな悪ガキが入部してきた。それが彼との最初の出会いである。青中吹奏楽部は楽器の振り分けを素行と成績で決めていた。勿論生徒はそんな事は全く知らない。一番成績の良い者はオーボエと決まっている。素行の悪い者はトランペットにしていたので青中のラッパはとてもガラが悪かった。大沢はなぜかトランペットになった。

大沢が中学の時を思い出してみた。何か誉めるネタは無いものかと一所懸命思い出そうとしたが、思い出すのはボカスカぶん殴った事ばかりで誉めた記憶が全く出て来ない。何かひとつ位は誉めていたとは思うが全く思い出せない。なんとも落ち着かない奴だった。ラッパは下手だった。リーダー性などかけらも無かった。
誉め言葉、誉め言葉・・・・・ん〜〜〜・・・・・・無い・・・・・。

しかし情熱だけは人一倍あった。人一倍熱い物を感じる奴だった。音楽を想像し、感動する事の喜びは他の誰よりも良く知っていた。3年間さんざんぶん殴られて感動しまくって卒業してから大沢の事は綺麗さっぱり忘れていた。
それから8年ほど経ったある日の事、大沢から電話が掛かって来た。
「青中と尚美のOBを中心に一般バンドを作ったのでコンクールで棒を振って欲しい」と。すでに私の名前で登録は済ませてあり、もし私がだめな時は大沢が私のふりをして棒を振るそうだ。なんだかちっとも進歩していないな、と思いつつも青中の同窓会に行くようなつもりで引き受けた。さあて、みんなどんなになっているのだろう。期待でワクワクしながら練習場所へ向かった。所詮一般バンドなどは週に一度しか練習しないし、各々仕事を持っているわけだからどうせへたくそだろうと思って演奏面は全く何も期待はしていなかったのだが、想像をはるかに超えて上手いのには正直びっくりした。
ただ熱いだけだった大沢が実にしっかりとリーダーシップを取っている。へたくそなラッパも実に輝かしい音に生まれ変わっていた。「こいつは天才かもしれない」私はまじでそう思った。


あれから早9年、相変わらず青木フィルは熱い。大沢のせいで熱い。定期演奏会のプログラム等はこてこてである。もっとさっぱりとした選曲は出来ないものかといつも思うのだが、大沢が団長である限りは青木フィルはいつも熱々であろう。
それにしても、今年の演奏会の選曲は何なんだ!!プログラムがこてこてなのに何もアンコールで'あれ'をやらなくても良いのではないか!普通'あれ'はプログラムのメインにする曲だ。技術的にも体力的にも相当ハードな曲なので結局練習時間の多くを'あれ'に費やしてしまったが未だ完成していない。そもそもアンコールで'あれ'をやるようなバンドは世界中何処を探してもきっと青木フィルだけだろう。さて、あと何回かの練習で定期演奏会だ。'あれ'のおかげで今年はいつになく大変である。反対意見もあったようだが大沢がどうしても'あれ'をやりたい!!と熱く語るとみんな納得してしまうようだ。これも天才大沢の人徳であろう。
それにしても大沢よ、随分成長したな。
そういえば昔のことわざにこんな物があったのを思い出した。
'天才は忘れた頃にやってくる'・・・・・・・


記・青木フィルハーモニー吹奏楽団指揮者 西郷雅則


戻る

【第7話】
西郷先生は大沢君のことを『天才』だなんて言ってるけど、私、佐藤(ま)はそんな風に思ったことは、ない。彼は普通の人間だ。どちらかといえば全く反対のところにいる人間のような気もする。ワガママで自分本位、口が上手くて悪知恵がはたらき、儲け話には目がない。・・・そう、『天才』だなんて思ったことは、一度もなかった。


ちょうど一年前に大ゲンカをしてから、大沢君と私は口をきかなくなった。大モメにモメて「やめる」「やめない」と口走った後「どうするか考えさせてほしい」と言ったまま、私がその返事をしなかったことが原因だ。挨拶はおろか、目を合わすこともない。こんな状況で青木フィルを続けていた。
以前から彼とはよくケンカをした。エキサイトしてくると私はかなり口が悪いので、彼のことを何度も傷つけてしまったようだ。だから「俺のこと団長だと思ってんのかっ!?」と言われたことも幾度となくある。その度に(おかしいな、また怒らせちゃった。悪気はなかったんだけどな・・)と思っていた。でも、今回はいつもとは様子が違っていた。彼は私に敵意を抱いてるように感じていた。話せばケンカになるから・・と、なるべく関わらないようにしていた。『触らぬ神に崇りなし』そんな感じだ。
そんな状態が半年ほど続いて、とうとう電話が鳴った。「どうしようと思ってるんだ?」・・正直、いよいよこの時がきてしまった、と思った。電話を切った後「いいんだ、もう。やめるよ。このままいてもお互いやりづらいし、楽しくないし」なんて愚痴ってはみたものの、その言葉とは裏腹にひどく悲しい気分になった。あんなに泣いたのは久しぶりだった。
そして、仲間たちに励まされたり説得されながら1週間が過ぎ、土曜の夜はやってきた。

「いまはやめられない、やめたくない」―――私の出した結論だった。
同じホルン吹きということもあり大変お世話になっている西郷先生や大切な仲間がいるここを離れることができなかった。ひとつの本番を終えて「一緒に演りたい」と入団してきた奴、出産のために休団していたが念願叶って戻ってきた奴、団長と私がうまくやっていけるように橋渡し役になってくれた奴、疲れて「やめたい」と思わず口走った私に「本当にそれでいいの?」と言ってくれた奴。。。我がホルンパートにはそんな愛すべき奴らがいる。本気で「やめるな」と言ってくれた人がいたから、私は今ここにいる。やっぱり、私は青木フィルが好きだから。それに、何より、こんな私を必要としてくれる団長がいるから。
何度も言われたのを思い出した。「お前の力が必要なんだ」『触らぬ神に・・』なんて言ってちゃいけなかったんだ。もし、またケンカになったとしたら、私は諦めないでとことん話をしていこう。彼もきっとそれを望んでいる。私だけじゃなくて、みんなの力が必要なんだ。『大沢バンド』『ワンマン団長』だなんて言わせない。みんなで青木フィルを創っていきたい。いままでだってそうしてきた。これからだってずっとそうだ。だって、そういうバンドを創ってきたのが、紛れもない、大沢団長なんだから。


大沢君の『青木フィルへの情熱』はすごい。「青木フィルがあった日は興奮してなかなか眠れないんだ」って言ってたことがあった。遠足の前夜、「明日が楽しみで眠れない・・」っていうのは聞いたことがあるけど?でも、そうじゃないんだよなぁ。「今度はこうしよう!次はあれがしたい!」って、ワクワクしてきちゃうみたい。・・ってことは、今週末の演奏会の前日とか当日なんて、大変なことになっちゃってるんだろうな。きっと。
青木フィルは彼のバンドじゃない。でも、彼がいなければ青木フィルじゃない。・・ん?ちょっと言いすぎかな。でも、彼がいなかったらいまの青木フィルはなかった。ということは、青木フィルで団長をやることについては大沢君は『天才』ってことなのかもしれないな。うん。

戻る

【第8話】
いやぁ〜〜〜6話・7話おもしろかったなぁ。笑ったなぁ。
・・・泣いたなぁ。
今回の『徒然第2弾』が始まった当初から、ゲストを出すなら是非、青木フィルの中心人物であるこの2人にお願いしたいと考えていました。おもしろすぎて、続きを書くのが大変だぁ。そのくらい、書いてもらってやっぱり良かった。

青木フィルで上手なパートはどこか?と聞かれたら、僕は「ホルン」と答えます。
もちろん、ホルンのメンバーが頑張り、充実しているのもある。しかし、何と言っても佐藤真由美の存在は大きい。知識が豊富でテクニックやスタミナがあるプレーヤーは、アマチュア・学生でも多くいますが、彼女は、音楽を志す者として最も貴重で最も大事な「音色」や「オーラ」を持っている。10年以上も前からアンサンブル等も組んできているが、そんな彼女の持つ才能に、度々羨ましくもなり、悔しくもなり、感心もさせられたものです。
是非、これからもホルンを続けて欲しい。そう願っています。

彼女とは、音楽を創る上でよく討論を繰り返し、口喧嘩に発展した時もありました。でも、憎さや敵意などが生まれた事は一度もありません。むしろ、口喧嘩になるまで好きな音楽の話が出来る友がいるって事は素晴らしいと思っている。
もしこの先に、青木フィルを最初からもう一度造り直すような事があったとしても、必ず彼女をメンバーに入れたいですね。

本当は青木フィルの売り(武器)として、もっと彼女の楽器を演奏会等でアピールしたいのですが、控えめな彼女は、いつもそれを嫌がります。
彼女の楽器の1ファンとして、その音色をもっと聴きたい!と、思っているだけなんですが・・・

戻る

【最終話
実は、これを書いているのは、本番1日前であります。
本番直前にして、お礼を言いたい奴がいます。
我がトランペットパートのリーダー、佐伯であります。

うちのパートは、休団者を含め全員で10名。この10名という数は、青木フィル総人数の1/4を占めています。正直「バランスが悪い」と言われても仕方のない編成です。でも、青木フィルで吹きたいと入団してきた奴に、偶然トランペット吹きが多かったというだけの話である。
しかし人数が多いだけに、楽器はもちろんの事、みんなの気持ちをまとめるのも一苦労。下は中学生から、上はもうすぐ33歳のエロおやじ(誰やねん!)まで。そんなメンバーの間に挟まれ、悩み苦しみながらも懸命にまとめようとしているのが、佐伯なのです。

佐伯が入団して初めての本番は、緊張しすぎて音が出なくなっていた。すごい下手っぴだった。その本番が終った後、彼女が本当に悔しそうな顔をしていたのを、僕は今でもよく覚えています。それが今ではしっかり楽器も吹き、パートリーダーとしてみんなをちゃんとまとめているじゃない。
パートの人数が9人になり、10人目のトランペット入団希望者が来た時、僕はバンドの編成・バランスの為に入団を断ろうと考えました。
まずは佐伯を呼び、その事を伝えようとしたら、その前に彼女が
「断るんですか?」
と悲しそうな顔で僕に訴えてきました。
「青木フィルで楽器が吹きたくて来たんですよ。」
僕はその言葉を受けて、その子の入団を認めました。
・・・そうですよね。まだまだ発展途上バンドであるこの青木フィルを見て、一緒に奏でたい。と思ってくれているのに。駄目な団長だね。
そして入団してきた上枝は、実によく頑張ってくれ、パートにも良い影響を与えてくれています。今となっては入団してくれて本当に良かったと思っています。(上枝に謝らなきゃね。)
青木フィルには、佐伯みたいなあったかい奴が他にもたくさんいます。それも青木フィルの良さだよね。
「佐伯、いつもご苦労さま。ありがとう。」


「ありがとう」この言葉、本当に良い言葉ですよね。
ありがとうと言えば・・・
青木フィルをやっていてこの言葉を伝えたい人達がたくさんいます。
あぁ〜たくさんの人達の顔を思い浮かべていたら、涙が溢れてきてしまった。

結成12年になるが、僕等だけではここまで出来なかったと思う。
「何でこんな人までが、青木フィルの為にここまで良くしてくれるのだろう?」
そう思う事が度々ありました。感謝、感謝です!
この気持ち、この先何年経っても忘れずに行こう。
明日の本番もそうだ。僕等だけでは創れない。
心からの感謝の気持ちを、本番の音で伝えたい。

最後に・・・青木フィルのみんな、
「この団に集まってくれて、本当にありがとう。」

戻る

 

へ行く

へ行く

徒然なるままにTOP